フォークで刺した地球を

僕らは、ワンルームの蛍光灯の下で。

日記

ほころび

お風呂に入ろうとしたのに スマートフォン、握り締めて寝てた。 明るい部屋の中で 死んだように眠っていた。 首が痛くて目が覚めて 慌てて薬を飲んで一息ついて ほらもう新しい日になったから、 喧嘩したことも忘れてしまう。 雨音に隠れて嘘をついた、 私だ…

もしも

蚊に刺された跡が真っ赤に染みていて、 キスマークみたいだなと思いながら誰のこと浮かべていたか。 いらないものばかり捨てられなかった私の真ん中。 私の知らない君が今も生きていることが寂しい。 割れたガラスの向こうに、何が見える。 誰にも知られない…

魔女の目

今日の三日月はなんだか綺麗で 吸い込まれてしまいそうで、立ち止まって眺めた。 頬に触れるなまぬるい風、横断歩道、 枯れ葉の踏まれた音、どこからか金木犀の香り、 まだ明かりの消えない校舎の前を通り過ぎて 誰も待ってはいない家に帰る。 桜が咲けば呪…

夢中

横顔も寝顔もまだ知らない過去もあの夜景も坂道の向こうの景色も二日酔いの朝も全部間違いなく本当で私は今も生きてる。君がいなくなる時まで一緒にいると言ってくれた人がいて、その言葉は魔法みたいに軽くて台風に吹き飛ばされてほしかった。 君に嫌われな…

机の上に物がたくさんあったから、全部箱の中にしまって楽になった。 窓の外、虫がうるさい。いらないものばかり集めている気がする。 扇風機の風で壁のポストカードとドライフラワーがひらひら舞って、落ちてこないか不安になって、 明日には東京にいるのだ…

赤い星

左手の爪が伸びるたびに、部屋に置いてあるギターが錆びていく気がする。 麦茶を飲んで汗をかいて、私は8月45日くらいを過ごしています。麦わら帽子も今日がきっと最後。 イヤフォンしているのに聞えてくる笑い声、電車の中で騒いでいた人たちが少し羨ましか…

昨日のこと

髪を切ってから初めて会ったから、「ねえ、何か言うことあるんじゃない」って問い詰めても、何も出てきそうにもないから切ったんだよって目を合わせずに言った。そうしたら、あ、そういえばって顔をして「似合ってる、そっちの方が好き」だなんて喋り出す。…

西へ行く

やっぱり新幹線は苦手だった。三半規管が頑張ってくれない。アネロンのニスキャップ。修学旅行みたい。 あっという間の2泊3日で、でも出発前から左足が痛くてずっと湿布貼って歩いてました。老いを感じた旅行でした。関西弁とかたくさん聞けるといいなあと思…

ソーダ水

いつもよりも遠くまで歩いたから足の裏が痛くなった。 知らない道、知らないバス停、変な名前の川、デコボコな道路 欠けた看板の意味が読めなくて、車のライトは遠くからでもわかる。 誰かのための正義で傷つく人がいるんだって 炭酸は苦手だったけど、気づ…

髪を切った

また一つ愚痴を吐ける場所が減ったけど、私の心は綺麗になった気がしている。 美容師さんが素敵なカフェの場所を教えてくれたから行ってみたけれど、今日は定休日だった。 インスタ映えもフォトジェニックも、全部生きにくくなっているだけだよ、 風に運ばれ…

変われないもの

もう静かな曲しか聞けない、あとは全部ノイズみたいにガサガサしている。 夏が終わってしまった。風が強い日はどうしても顔が険しくなった。 踏切で通せんぼされて、通過する電車を見つめていたら自分の姿も見える。 小さな町では生きにくいです。どこか遠く…

応答せよ

君しかいないよって言えば、嘘でもなんでも心が真っ赤になるの。 日焼けした肌にも飽きたね、夏らしいことなんもしてなかった気がするね。 もうすぐ半年間の日記が本になってやってくるから楽しみです。 たこ焼きが食べたいねってそれだけで大阪と京都旅行を…

よるのさんぽ

暗い夜にしか出られない。まだ蒸し暑い空気。 ニ等分線、ガードレール。メガネが少し汚れていたな。 車の免許はもっていないから、あのマークの意味がわからない。 どうせわかるはずもないじゃないか、だから黙ったままでいることばかり。 「絶対大好きだよ…

月が見えない夜は

古い郵便ポスト、腐った電柱。室外機の会議中、右耳だけ重くなった。 月が見えない夜は変わらないものだけが沈んでいく。 止まれと表記された道路の真上を歩いて、これが愛しさかって頷いてみた。 私はいつだって、いつか街灯になることを夢見ている。 出来…

ハッピーエンドだ

朝起きて、すっかり焼けてしまった両腕を見て変な声が出た。BCGの跡の下から色が濃くなってる。 いつもなら悲しくて悔しくて色白の人に僻んだりしてるのに、そんなことも気にならなくなった。でもちゃんとビタミンCのサプリは毎日飲んでいる。 日本一の夏フ…

裏表

家にいても 苦しくなるだけだから 外に出た 短いズボンだから歩きやすい ガスの臭いがする いろんな人が住んでる 洗濯物の影、オレンジの光 空ばかり見上げて歩いてたら いつか転べると思っていたな。 裸眼でも遠くが見えたらよかった めがねは邪魔だけど な…

うそつき

大きな街灯の下なら、見つからない気がした。嘘、本当は見つけてほしい。 満月の周りだけ透明にキラキラ光る、雲が流れていくのを眺めていたらあと少しで車にひかれそうになった。 木と葉っぱのトンネルを歩いていく、私の住む町から少し遠くまで来ると自由…

最終列車

髪を染めたことがない。きっと似合わないし、私には黒髪が一番落ちつくんだと信じている。制服のスカートもそんなに短くしなかった。第一印象と全然違うねってよく言われて、きっと私の見た目は本物じゃないんだなと小さいころから思い続けていた。 爪を切っ…

潜水

毒を抜かないといけない、私にたまった膿を出さないといけない。刺して、つぶして、軽くなることだけが正義みたいなこの世なんてなくなればいいのだ。まず最初に私が。空を切れたら半分くらい君にあげる。雨が降りそうで少し悲しくなった。夏が終わっていく…

ガラスみたいだ

ラジオで15歳の女の子が恋をしている話を聞いていた。冷房の風にあたりながらどんどん冷えていく身体とちょっと赤い気持ちと、明日は晴れるといいなって願ったりしてる気持ちで胸が苦しくなる。 スピッツがながれて、ギターが弾きたくなる。爪を切らなきゃ…

またいつか

今日も歩こうと思って、肩をぐるぐるしながらるんるん鼻歌うたってたよ。 夜の雲は湿度が高そうで、なんか黒蜜舐めたくなった。胃もたれ、致死量って言葉が好きでよく使ってしまう。街灯に群れる虫を見つめて苦しくなるみたいに、風のない夜には答えが出しに…

僕はヒーローになれない

「なんでそんなに優しいの」って聞いてしまうのは私の癖です。 どこかの誰かさんのおかげで、世界中が優しく怪しくみえるよ。 夏が終わっても、冬になっても、誰からも逃げられないし、私は私のままだ。 頭が痛いよ、いつかは楽になるかな。終わりは絶対なの…

夜に青は溶ける

お風呂上がりに冷えた麦茶を飲む時が幸せ。そういえばずいぶんと爪が伸びてきた。今夜は久しぶりに遠くまで歩いてみたら、大豪邸大豪邸大豪邸。私の知らない世界が広がっていて、きっとあの人たちは水道水なんか飲まないんだろうなと思った。私は洗面所の水…

麦わら帽子とワンピース

今日は風が強かった。駅までの一本道、麦わら帽子が飛ばないように押さえていると、ワンピースもばたばた揺れる。なんか楽しくなって笑えてきちゃった。大好きな友人と待ち合わせした品川駅まで、久しぶりの遠出でした。 白と黒に紛れて歩く青いワンピース。…

標高11.5m

今日の月はとても近くにあるようで、トンネルのすぐ上で輝いていた。歩いていた足が止まって、目線を合わす。きっと昨日よりも明るい。開いていた口を閉じて、小学校の方へ向かう。誰もいない道を歩くのが楽しくて、街灯だけが生きてるみたい。 3月のときの…

おんなのこはね

冷房にあたりすぎて、学生に戻ったつもりでいる。図書館とか、自習室とか、しーんとした空気が懐かしい。あの頃と比べることはもうしてないけど、いつ思い出しても楽しかったと笑えることがあって嬉しい。 最近は夏バテ気味だから、アイコンの右上に表示され…

フラストレーション

朝起きて久しぶりの眼痛を感じた。もうわかっていたからめん棒と目薬を用意して鏡の前に立った。眼球に触れないように恐る恐るまつ毛を取る、もう手慣れたもの。 最近の悩み事、デスクの上にあるサプリメントの瓶が可愛くない。だから、可愛い瓶がほしい。コ…

ようやく捨てた

前に住んでいたアパートで使っていたマグネットが見つかったのだけれど、黄ばんでいてなんだか笑えた。 私にも若い頃があって、大人に憧れていた時期もあって、でもそれはもう思い出したくもないものばかり。 最近はラーメンばかり食べている気がする。罪悪…

じめじめ

道路の真ん中で子猫が毛づくろいをしていた曇り、紫陽花、自転車の音が後ろから近づく。汚い顔だなと鏡を見て思う帽子を深くかぶって校舎の横を過ぎる。長袖の季節が好きだ夏は隠せないから、苦しくなる。私が世界の真ん中であると感じていた時期が懐かしく…

笑っていて

恋がしたい。恋をしたい。ずっと恋していたい。水の中にいるときみたいな、泡だけを見ているときみたいな、声を出しても伝わらないくらいがちょうどいいんだ。いつだってこの世界は溢れすぎていると感じている。黄色と黒が多すぎる世界で、夏は嫌い。雲のな…