フォークで刺した地球を

僕らは、ワンルームの蛍光灯の下で。

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

春の記憶

雨の日の匂いも、力の入らない腕も、好きだった東京も、夜風に揺れるスカートも、信号の赤も、好きだった人の顔も、慕ってくれていた後輩たちの声も思い出せなくなってとても優しく傷ついている。 私が大人になることは全てを諦めることではなくて君を嫌いに…

わたしのものじゃないもの

鳥の声は君を他人にする、部屋の明かりは外の気温は霞む視界は私を誰かに変えることもなく流れていく。 はじまりを思い返せば道は続くとしても、もう何にもなれないと膝を汚した日がなくなるわけじゃない。 朝が染まれば人は働く、夜に思えば街灯は佇む。こ…

終末

笑っていれば幸せだと思えるからただ笑っていた。笑い方を忘れなければ全ては上手くいくのだ。窓の外のすぐ手にできる世界の鮮やかさと気の遠くなる感覚、自分の身体が動かなくても世界は終わりに近づいている。まだ、何も、とすがりつきたくなる夜もどこま…

濁流の群れ

世界を新しくしよう。誰を愛したって憎んだって全て許されるようにしよう。 焦げたトースト、窓の外の熱気、まだどこにもいけない誰かのための歌も花も、 汚れたフィルター、もう着ない服、私だけの君は彼らは、 欲しいものばかりで満たされない日の心臓はや…