フォークで刺した地球を

僕らは、ワンルームの蛍光灯の下で。

失って気づくとか、そんなものじゃない。だってまだ何もはじまってはいない。終わってもいない。

私の中にある君が、あの時からずっと同じ呼吸と体温であり続けているうちは。

致死量の桜、満開。喉が渇く、煙草の煙は白くて綺麗。

左手と右手、人々、賑わい、甘いお酒にありふれた贅沢と夜。

大きな背中は、赤信号、エンジンの音、東に向かう。

誓いみたいな祈り、いじわるなくらいがいい。お別れは、まだ早い。

公転した頃には、心臓が茶色く染まっていた。恋をしたつもりだった。

思い出だけで何度でも転んで立ち直るみたいに、私もあのときのまま、変わらない。

目をつぶって、思い出してみると、君は本当に綺麗な横顔をしていた。

 

三日月

意地悪そうに笑う君の目が好きだった。春の夜。頬っぺたをつねられながら私も笑っていた。

どうしても普通にはなれなくて、それでも私は普通であると教えてくれた日を思い出しては三日月が滲んで消えていく。電線と視線で二等分されて、隣町へ消えていく。甘くないコーヒーを私は飲めない。一人じゃヘルメットもつけられない。ヒーローがいなきゃ世界は救えない。君が私を作った。いつだってそう思っているよ。

彼の良さは彼女だけにわかればいいというのだから、君の全ても私だけが知っていられたらよかった。桜の花びらが地面に這いつくばるみたいに、もう戻らない昨日にさようならをした。

正義は重すぎる

今日は風が少し寒いけれど、良い天気だった。苦手な裁縫にも挑戦して、姉と母に笑われながらなんとか完成させた。いらない服を選別して、いろんな気持ちもまとめて捨てた。軽くなるにはまだまだ時間がかかる。でも明日には私は外に向かわないといけない。

必要なものと、必要な人だけがある世界をつくっても、きっと今と何も変わらないのだと思う。私の愛する人と、あなたの愛する人は違う。はみ出たものは切り落として、まるくなることが正しいとしたら、君も私も三角のままでいるんだろうな。

とてもじゃないけど、私たちは美しくはなれない。嘘はつきたくないけれど、嘘をつかなきゃいけないときもある。