フォークで刺した地球を

僕らは、ワンルームの蛍光灯の下で。

トリガー

守られるほど女の子らしくもないよ。だからといって君を守れるほど強くもないよ。助けたかった人は一人だけ。結局、私だけ。

坂道を上れなくなって、ひたすら真っ直ぐ歩いている気がするんだ。最近は雨がよく降るね、もうすぐ夏もやってくる。目の前のことはいつだって見つめられない。だからいつもからっぽだった、明日のことだけ考えていれば、軽くなれると思っていたんだ。

映画を観るようになって、小説を読むようになって、音楽を聴くようになって、何か変わってくれたらよかった。あらゆるものに化けた君が現実から私を隔離する。

 

「ひとりぼっちになりたかったの」

「だってもう一人にはなれないから」

 

ぬくもりもあいもすべてしってしまった、みたされてしまったことがすべてのはじまり。もうじゅうぶんだ、もうじゅうぶんなんだ。あたしはもうすぐいなくなる。

海底

私がずっと好きだった人は 
誰よりも海に近い目をしていた。 

うるさい人は嫌いだけど 
冷たい人も嫌なの、わかって。 
わがまま、治らないよ。ずっと。 
ごめんなさいの練習を。 

いつだって我慢できなかった 
顎から垂れてく涙たちが憎かった 
私は強くも優しくもなくて 
弱くてわがままな子どものままなんだって

あの凜とした目を見つめながらゆっくりと沈んでいった子のことは 
私が誰よりも知っていて、誰よりも消し去りたいんだと思う。 

春になれ。

春服を買ったのに、まだ着れそうにもない。春がもうすぐやってくることも、冬がいなくなってしまうことも、来年も変わりやしないのに永遠みたいな一瞬だった。

全てが決まるのは今ではなくて終わりの時であっても、私はずっと火傷の跡を撫で続けている。お別れがきてしまったもの、傷のついたレンズ、見えなくなってしまったもの、もうかけなくなったメガネも、いつか思い出される時まで死んでいる。

他人を変えることはとても難しくて、他人に変えられることはとても簡単だ。だって私は君を救えなかったし、君は私を生かしてしまった。それだけが私たちの全てではないけれど、それが私の全部。