フォークで刺した地球を

僕らは、ワンルームの蛍光灯の下で。

ギブアンドテイク

心がすっきりしない日が増えてきた。テレビの画面の中の可愛い女の子が悩みを話している。頑張っているのを非難するのって嫌いだ。もやもやする。あえて言葉にしない気持ちとか、中途半端な優しさも全部食い散らかしてやりたい。暴君。

私は自分に自信がありません。だからオススメは出来ません。これでは誰も手を伸ばしてくれません。つまりはそういうことです。

努力を続けていれば、結果は必ず出てくれると言われた。日記や詩を書くことも、夜に走ったりすることも、生きることを辞めないこともいつかの私が褒めてくれる。そう信じることしかできないけど、それがきっと正しい。

 

最終コーナーは曲がるな

久しぶりの夜。家のドアを開けた瞬間に春を感じた。もう寒くはなかったから、浮かれながら悲しくなった。また壊れてしまわないようにゆっくり歩く。でも我慢できなくて2曲目のイントロと同時に駆け出してしまった。思ったよりも身体は軽くて、いつもと変わらないトンネル、駅前、自転車置き場、ファミリーマート。胸が苦しくなったのは、いつものゴールの手前。でも、もう少しの乱用をして走った。よくする癖、汗がにじんで服が重たい、小学校の前、横、横断歩道、ラスサビの直前、死にそうな顔を笑いながら走った。最終コーナー。

予想してなかったから、本当は期待していなかったから。でも、桜が咲いていたから、足が止まった。桜なんかに、足を止められてしまった。

耳の外の音楽、少し色が褪せたみたいな、あの時の香りはしない、ニュースがノイズみたいだった。思い出した記憶も、まだ美化しきれてない笑顔もいじわるな顔も、白く映る花のような、変えられなかった偏見も。全部蘇った。まだ、ここに私は一人。ここには私だけが一人、いた。

去年の東京を思い出しながら、月を見上げながら帰った。私は、私のあった場所に戻ってきてしまったんだ。

失って気づくとか、そんなものじゃない。だってまだ何もはじまってはいない。終わってもいない。

私の中にある君が、あの時からずっと同じ呼吸と体温であり続けているうちは。

致死量の桜、満開。喉が渇く、煙草の煙は白くて綺麗。

左手と右手、人々、賑わい、甘いお酒にありふれた贅沢と夜。

大きな背中は、赤信号、エンジンの音、東に向かう。

誓いみたいな祈り、いじわるなくらいがいい。お別れは、まだ早い。

公転した頃には、心臓が茶色く染まっていた。恋をしたつもりだった。

思い出だけで何度でも転んで立ち直るみたいに、私もあのときのまま、変わらない。

目をつぶって、思い出してみると、君は本当に綺麗な横顔をしていた。