フォークで刺した地球を

僕らは、ワンルームの蛍光灯の下で。

優しい雪

髪を切ったのに、誰も気づいてくれなかった。だからトイレの鏡をずっと眺めては昨日の自分に謝り続ける。雪が降り始めたんだ、と誰かが教えてくれたから、とても寒いのに傘も差さずに空を見上げた。濡れた地面も白い息もどこか知らないところまで流されておしまいになる。

これから家出をするのだと楽しそうに笑う彼女がいて、私もこのあと北海道にいくんだ、なんて嘘をついてすぐに訂正した。行けるはずもないのに口に出したら本当になる気がして、遠くにいけばきっと違う世界があるような気がして、どこにいても何をしても私は変わらないのに、勝手に変わった気がするだけです。だから私はどこにもいけなくても、今すぐに君になれる。