フォークで刺した地球を

僕らは、ワンルームの蛍光灯の下で。

最終列車

髪を染めたことがない。きっと似合わないし、私には黒髪が一番落ちつくんだと信じている。制服のスカートもそんなに短くしなかった。第一印象と全然違うねってよく言われて、きっと私の見た目は本物じゃないんだなと小さいころから思い続けていた。

爪を切った後にやすりにかける行為が苦手で、腕や足に白い線が増える。結婚線の話で盛り上がったり、マクドナルドの新メニューで一喜一憂したり、あの頃は世界がとても小さかった。だから不幸でも我慢できた。

「大人になればわかるけど、僕らはなんにでもなれるし、なんだってできる」

そういってくれた人のことをたまに思い出すの。数少ないソウルメイト。きっと今頃奥さんと仲良くしてる。あの人みたくなりたいけど、私には夢がない。

スマホをちらちら見てため息をつく。こんな四角形に縛られていることに気づいて笑えてくる。地球は丸いらしいじゃないか。私だってまるくありたい。月も太陽も丸くて、きっと一日だってまるい。24時間に飼い殺されている気分はどうですか。23になっても嫌いな物は嫌いなままだよ。

帰るべき場所があって、私は東京にいられなかった。急行電車、酒臭いおじさんにつぶされながら窓の外見て笑った。君の笑い方真似して、意地悪そうな顔して笑った。