エンドロール
別れから始まる物語も、あっていいんじゃないかと思う。
君とさよならした日から、あたしの命は動き出した。
桜、コーヒー、雨、寝癖、スーツ、東京、大人、
デブになるよって言われたけど、我慢できなかったプリンとか、
バイク、赤信号、冷たい手、排気ガス、陸橋、
夜が明ける前に、小さな町から逃げる。
終わってしまった私の物語を、微笑みながら思い出して
もしあの時手を離さなければ、まだ、とか、ばかばかしくて泣けてくる。
桜が咲いて、雨が降って、人は流れて、また辿り着く。
幸福だけを語れないことがこの上なく幸せなんだって、今ならわかる。
私の泣き顔を一番知っているでしょ、
それ、自慢していいよ。いつかまた、会えたらね。