フォークで刺した地球を

僕らは、ワンルームの蛍光灯の下で。

日記

甘い嘘

ショートケーキを食べながら、テレビを見てケタケタ笑った。父親のことは今でも好きにはなれなくて、でも似たような癖があることが嫌ではない。愛していた人が小さくなった気がするのも、どちらのせいかわからなかった。床に溢れた破片と鈍痛、遠い空もいつ…

止まった時間

一カ月くらい下書きにためていたものを全部公開しちゃった。季節おかしいものとかあるし、変な人みたい。中途半端なメモ書きが部屋に散乱しているし、あと少しで麦茶はなくなる。今が夏だったら嬉しいんだけど、隣のハロゲンヒーターの温もりで生き延びてい…

ひとりのじかん

駅のベンチで時間を潰している イヤフォンつけてなくて、 発車ベルの音とか、聞き慣れた男性の声とか 足音が気持ちよく私の心も潰してくれる。 いなくなってしまったみたいだ 別に触れてもいなかったよね、 例えば寄り添う二人の姿に何を重ねるのか キャリー…

もしも世界を救えたら

電車に長時間乗っていられない。気持ち悪いけどスマホ離せない。疲れて眠ることもできない。 いろんな広告に紛れてどれか一つくらい誰かに向けたラブレターとかあってもいいじゃん。 もうわたしは愛することも愛されることも諦めたから、あなたの本物見せて…

どこから月は欠けるのか

左手首が死んだ。古い呪いにかかって死んだ。また動く時まで今はただ待つ。慣れない右手でスマートフォンを叩く。 好きな人に会えたら、もう二度と会えない人に会えたら、そう考えるだけで楽しくなるのはもう君がわたしの中にはいないから。 何もない部屋で…

明日で終わる

長かった戦いもようやくお終いが見えてきたから、ちょっと元気になって夜更かしもしちゃったりする。久しぶりにはてなブログにログインした気がする。全部あやふやで本当はもう死後なのかなって思ったりもする。そんな時もありますよね、妥協も肯定も同じよ…

選択肢

生きていてよかったなと思うことが増えてきた、逃げてばかりの人生だった気がするけど、でもちゃんと進んでいたんじゃないかなって今では思えるようになった。 理解できない心境は全部真夜中のせいにしよう、湿度のせい、秒針のせい、変わっていく景色も未来…

誰かに大切にされてみたいなって思う。砂糖菓子のように甘くなれたらもう少し毎日がゆるく流れたのかもしれない。月が雲に隠れてしまったのは、夏が夏のまま終わってしまうのは、君の後ろ姿もおぼろげになって顔にかけられた煙草のケムリのよう。汗が滲んで…

なんでもいいや

赤くなった肌を見つめて夏も終わったと感じている。 平成最後らしいし、きっとこれで大正解だと来年の私は言う。 君がどんどん優しくなるたびに、どうしようもなく悲しくなる。 人目を気にするくせに、手を繋いだりキスをしようとしたりするのはどうして。 …

小さな部屋

控えめに流れるジャズ、オレンジ色の灯り、君がいない、画面の中の揺れている人は誰だ、爪を短く切った、アルコールには手を出してはいない目覚まし時計はもう動かない、コップの中は空だ。乾燥する唇、甘ったるい香りの空間に見えてほしい現像もいない、首…

朝が来る

前よりも言葉を吐く回数が減った。目覚まし時計よりも先に起きることが増えた。 笑うことは前と変わらない、でも今の方が生きていると思う。 幸せかどうかはわからない。 夜更かしをしなくなったら、不幸がなんだかわからなくなった。 普通になってしまうこ…

夜景

なんでもない休日、甘いケーキを食べて胃がもたれた。 うまくやりあって、折り合いをつけて 私だけがつらいわけじゃない、とか ありふれた理由を武器に強くなったふりをする。 君に会えた日は特別だった。 私、どこまでも食べるくらい軽くなった気がして タ…

おぼろげ

埃かぶった看板と焦げた黒髪、 少しずつ上がる声は大きな月を見上げたようで。 春を感じて軽くなってしまうから、 あんなに涙したことも綺麗な言葉で表せるの、素敵でしょう。 私を選んでくれたことも君を切り捨ててしまったことも さよならがあたたかったの…

青い花束

遠くへ行ってしまう可愛い女の子のために 手紙を書くことにした。 出会いと別れの季節になってしまったのだと 嫌でも思い知らされて、聞かなかったことにしたい。 幸せでしたと笑って泣いた彼女は、 とても綺麗だったな。 桜が咲いてしまうことを、私はずっ…

花になれば

春が近づいてるのが、外の匂いでわかってしまう マフラーも手袋もいらないくらい、外があたたかいから。 ニコニコしながら散歩して、桜のこと考えてニヤニヤした。 あの思い出もこの思い出も全部一つずつ大事にしたい 名前をつけてまた開くときまでしまって…

染まりたい

もうすぐ誕生日が来る。 前の仕事を辞めてからの一年はあっという間だった。 案外生きるのは楽だったんだなと、 マニキュアの剥がれた爪を撫でながら思った。 あんなに苦しんでいたのに、ばかみたいじゃん。 知らない間に乗り越えちゃってるの、やめてほしい…

ご褒美

私にはピアノも猫もない。 今日は雪が降らないから、誰も特別になれない。 甘いマシュマロの匂いがする部屋の中、 暖房の風量を強くしてパーカーを脱いだ。 きっと笑顔を振りまいて誰かを幸せにすることは 私には出来ないのだろうけど 君と二人でなら目がな…

ムーン

乾燥する肌で冬を感じて 咲いてしまったら価値のない桜だ。 暗い夜のままでいい、 赤い月はとても素敵、 誰も見上げないからずっと見つめていたあの日も 息が白いねと笑いあったあの日も きっと明日は忘れて、明後日には思い出すの。

帰り道

人身事故で遅れる電車、 暗い歩道、お店の灯り、 春になったら苺のクレープが食べたい。 小さなかたまりの氷たち、雪がそうでなくなったもの、 頬を裂くような冷たい空気も 手袋を忘れて石のような両手も そのうち忘れ去られて、また思い出される。 音楽を聞…

私の名前

本当の私を知っている人は数えられるくらいでいいと思う。 君が最後に呼んでくれたことが、魔法みたいにキラキラしている。 あの春の日に私は本物を知って生きることを選んだ。 髪をいじる癖が治らない。軽くしたんだねと触ってくれるから短い髪型ばかり選ん…

翼があれば

君は今誰を抱いているのだろうなと ふと思ってしまって どこまでも自由な人だったから ずっと寂しくてたまらないのかと 勝手に想像してやめた。 自分のことで精一杯だから 他人のことなんて気にしてられない 君はきっと君らしい幸せを選んで それは私にはう…

秘密

また一つ言えないことが増えて 大きくなる世界に私は戸惑うばかりだ 正義が音を立てて崩れたら 誰かが拍手してくれる気がする 君のこと嘘にはしないよ 全部飲み込んで私は生き抜いている お気に入りのスカートを履いて あの時とは違う景色を歩いている 君も…

東京

微かに揺られている 人が少ない車両内。 暖かい日差しも耳に入ってくる優しいノイズも お上りさんだから、楽しくて仕方ない。 爪が伸びてきたから切らなくちゃ クリスマスプレゼントは何がいいかな。 冬が似合う女の子にはなれないけど、 自分のために赤い口…

帰り道

綺麗な青、群青、湿度、水しぶき、誰かの吐息、白い息、イルミネーション、風吹く夜、 いつか君にも見せられたらな。星が眩しい夜空、ピアノの音色、揺れるあの姿はとても美しいもの。 私はずっと一人。車も人も猫もいない、小さな町で息をしている。

白い月

痛みにひたすら耐えて、病院の外に出たら月が見えた 新宿と欠けた月って、なんだか似ている。 透明な風にいつかはなりたい。 私は人間であって、動物ではないんだ。 いつだって自由にどこにでもいける。 看板も揺れる、風が強い。 雨がもう降らなくなったの…

目指してきたもの

前向きな人が好き。 生きるのが楽しいって言ってる人が好き。 笑っている人が好き。 綺麗な人になりたい 真っ直ぐな人になりたい でもきっと全部は叶わないし 私にはできないことがたくさんある。 今の私にできることって少ないんだけど 他の人にはできない…

雨降る夜

たまにさ、自分の手はこんなにも黒かっただろうかって悩んでしまうことがあった。 好きなもので溢れた部屋なのに、なぜか居心地がよくない時もあった。シンプルでありたいと願う日々好きも嫌いもなくなれば簡単に生きられる気がして無理だから夢が見られるよ…

林檎飴

もう手がとどかなくてでも生きてることだけが確かにわかる。私の知らない人と恋をして、赤くなって人間になっていく君はとても美しいと思う。大きな背中も、濡れたその黒髪も、手を繋いで歩いた横断歩道も眩しすぎる街灯、桜の匂い、ちゃんと綺麗に思い出に…

白線

変わっていくものが怖い 続いていくことが何よりも正しい 私のことを決して好きにならない人を 死ぬまで愛して灰になりたい。 ずっと好きだった彼も彼女も君も 嫌いになりたかったわけじゃないとして 愛せなくなったのは誰のせいか。 一人きりで生きている気…

飽食

トーク履歴見て懐かしくなって 夏が終わっていくのも気持ち良くなった 満たされた腹の奥に見えた女の顔、 好きが溢れなきゃ全てが上手くいくのに 木苺のメレンゲ、秋雨の気配、 君はずっと割れた爪を眺めていた。