フォークで刺した地球を

僕らは、ワンルームの蛍光灯の下で。

豪雨

網戸の外から何かが叩きつけられている音がした。雨だ、この匂いでわかる。相変わらず、目と耳と鼻だけで生きている気がするよ。幸福だ。

何かが終わっていくから、あなたがどんどん大きくなる。汗が目に入って苦しくなるみたいに、イブに間に合わなかったケーキみたいに、私は傷ついていたい。

お風呂上がり、自室に戻ると必ずジャズを流すようになった。もう忘れた誰かの習慣を、あの頃はばかにしていたことを、大人になった私もしている。

私ね、悲しい気分の時に思い出されたいの。雨みたいだなって思われたいの。でもきっと無理なんだ、私には太陽が似合うから。

腐った魚

鼻が曲がるような臭いに

東京の空を見上げて歩いた

汚水の色はいつだって濁っている。

綺麗な川で泳ぎたい

 

満員電車は窮屈で

それでもたまに居心地が良くなる

君も私も消えたくなる時に

きっとこんな感情になる。

 

もう夏みたいだねってこぼした。

 

綺麗なお姉さんたちとすれ違って

彼女らは私の知らないたくさんを

消費しては生にしていくんだろうと

なんだかドキドキしてしまった。

 

葉桜、ジンジャエール、横顔の似顔絵、

トラックの運転手、干乾びた高架橋。

みずみずしいものだけが命みたい

死ぬまで白になりきれない。

流れ

今日は久しぶりに頭の奥が詰まった。呼吸が浅くなって、街の喧騒と一緒にどこかに消えていく気がした。明日からはこの川の下流に向かっていくのかと思えた。期待はしない、少しの強がりと誇りだけで足を動かす。 

 

本当は好きだったよとか、そんな言葉はもう必要ない。私は私の知らないところで都合よく思い出にされて呼び起こされるのが好きだ。それを想像するだけで生きることは正しいものになる。私は、私がもう知らなくなった人たちに生かされている。

 

ロッキンの出演アーティストが続々発表されて、何日目に行く?という話題が家の中を賑やかにする。私は4日目がいいけれど、君はいつ行くんだろうと心の中で思うんだ。抜けないんだよ、まだ、やっぱり。 

 

音楽を聴くたびに思い出す人がいる。あの曲はあのときで、この曲はこの人で、そうやって記憶に目印をつける。いつかまた辿り着けるように、あの水の落ちる音みたいに、綺麗になってまた迎えにきて。そしたら笑いあえるよ。