着せ替え人形
「嘘つき、もう、消えてやる。」
って、息を止めて30秒で頭がくらくらして、心は不安になって、口を開けてしまう。覚悟と本能は相容れない。補強もない覚悟なんて、折れて使い物にならないのに。
冬は終わるから、春らしくなろう。その四季ごとに顔があったって素敵じゃない。外に出られることも、人と話せることも、醜くても笑顔を選んだのも、私がこうありたいと願ったからだ。
新しい服がほしい、新しい出会いがほしい。まんまるな地球と、おだやかな朝日と、甘い紅茶と、隣に誰かがいること。
過去の優しさにふやかされてしまうな。私は君がいる世界を選んだの。内になんてこもったら、嗅覚も聴覚も、この感覚全てお終いに近づいちゃうよ。
服を着て、顔と表情を選んで、靴を履いて。東京が待っている。あの赤信号の前で、待ち合わせ。
ヒーローにはなれない
ここ最近は、頭の巡りが悪くなったと思う。早咲きの桜を見上げては写真を撮る人たち、それを少し遠くから眺めていた私。この景色には何かが足りなくて、それはもちろん、満開のソメイヨシノと、大好きな人の横顔だった。わかっている。わかっている。それくらいは暗算で答えが出せる。
どうでもいい人には、無責任に結論を出してしまう。それが案外気持ちいいって喜ばれてしまうものだったりする。困惑と、困惑。随分前にむけた彼への言葉は流されてしまったのに。私は別に人助けをしたいわけじゃない。あなたは勝手に救われてしまった。
思うように笑顔が作れない日々が積み重なっていく。これもいつか終わるとするとしても、呼吸が一つずつため息に変わるように思えた。気のせいだって紛らわすのも飽きてしまった。それでも明日がまたやってくる。
昨日も生きて、今日も生きて、明日も生きて、の繰り返し。